こんにちは!横浜・白楽の占い師、八重森るなです。
今日も楽しくルーンの話をしていこうと思います♪
ルーン占いとヨーロッパ
それ、ケルトですか?
私がルーン占いをやっていると、よく「それ、ケルトですよね」って言われます。
ケルトっていうと、こういうイメージだと思うんですが、
素敵な風景ですね。あとは、こんなの。
それから、エンヤだったり、無印良品の店内BGMだったり、あとはイメージとしてはなんでしょうか…あと、アーサー王伝説、「円卓の騎士」なんかはそっちです。
実は、ケルト文化は、ルーンとは関係ありません。
ルーンは古代ゲルマン語であり、ゲルマン人の文化です。ケルト人はヨーロッパの中でお隣にいたので、共通する文化もたくさんありますが、違う文化なんですね。
私達が、例えばヨーロッパ人に「中国と日本って東アジアで雰囲気も似ているし漢字を使ったりして文化も似ているから、同じでしょ?」って言われたら「違う!」って答えますよね。
それと同じことです。
ケルト文化ってどんなの?
ケルトって謎なところもあるのですが、概ね「ヨーロッパの真ん中へんにいた民族」と「アイルランドにいた民族」のことを言います。
地理的には海を挟んで離れていて、海を渡ってアイルランドに行ったケルト人たちがそこに住み着いた」って物語ができそうですが、そう簡単な話ではないようです。
何しろ、大陸にいたケルト人とアイルランドのケルト人の間には、遺伝子的な関連性がないんですって!
昔の骨とかを調べてそういう結果が出ているそうです。
でも、文化を調べてみると、以下のような共通点があるんだとか。
・ドルイド教を信仰している
・文字の文化を持っていない(ドルイド教の神官達が使っていた「オガム文字」というのは存在します)
・鉄器の文化がある
ドルイド教というのは日本の神様観とか北欧神話とかと同じように多神教です。
ドルイドと呼ばれる神官達が、森の中で多くの神様に祈りを捧げる宗教儀式を行いながら、政治家や弁護士の役割も果たしていたらしいです。
神官による「オガム文字」は4世紀ごろに出来上がったものらしく、基本的には宗教的な知識も、その他の知識も、口伝されていたみたい。
では、ルーンにまつわる文化って?
ルーン占いに使うルーン文字は、だいたい1〜2世紀頃に生まれました。
使っていたのはゲルマン人という人達。ドイツ北部、デンマーク、北欧、時代は下がりますがその後アイルランドなどに移住して行った民族です。
ケルト人よりも東側に住んでいました。
この人達の信仰も多神教です。私達が「北欧神話」と読んでいる一連の神様のお話がありますが、これに出てくる神様が信仰の対象でした。
ルーン文字は神官のような特別階級の人だけが使っていた文字ではなく、ある程度の知識層(王族とかお金持ちの商人とか)は使っていたものでした。
今も残っている石碑に「この立派な建物は、勇敢に戦った○○の偉大なる息子××が建てました」みたいなことが書いてあったりします。
神様も、言葉も、文字の文化も、ケルトとゲルマンは全く別の民族です。
隣にいるからなんとなく似ていて、もちろんお互いに何かしらの影響は受けていて、それで「ルーンってケルト文化?」みたいに見えちゃうだけなんですね。
ゲルマン人のヨーロッパでの動き
ゲルマン人達は、私達が中学の世界史とかで勉強する「ゲルマン民族大移動」を起こします。
ゲルマン人達は、元々はわりとヨーロッパの真ん中へんに分布していたそうです。
5世紀くらいに、東の方から「フン族」という中央アジアあたりの放牧民が場所を求めて西の方に攻め入ってきます。勇壮な民族だったようで、ゲルマン人達は押されてしまいます。
北の方に押し上げられてしまう、またケルト人の土地に入り込んでいく、ということは当然起こりました。
特に、辺境の地域では、お隣が違う文化を持っているということが起こります。
なんとかして交流して、交易して生きていかなくてはなりません。
そういった土地では、言葉のすり合わせなどは起きていた模様です。
やがて、肥沃な土地であったケルトの土地はローマに攻めいられ、ローマ化されキリスト教化されていきます。大陸にいたケルト人も、アイルランドにいたケルト人も、もうドルイド教を信仰しなくなっていきました。
しかし、特に北の方にいたゲルマン人の土地については、あまり山と雪と氷の世界で旨味のない土地だということだったのだと思います、しばらくの間はローマ人が入ってきませんでした。ゲルマン人達は、そこで王国を作って独自の文化をしばらくの間保ちます。
ケルトとゲルマンで、キリスト教化が行われるのには、数百年の差がありました。
それくらい、ケルトとゲルマンは、違います。
ケルト/ゲルマンの文字と占いについて
ケルトでは、前述のとおり、神官達によってオガムという独特の文字が使われていました。
これが「オガム文字(の一部)」です。
縦線に横線、斜め線などを使った、記号!!!って感じの文字です。
この文字の一つ一つには、ケルト文化で重要だった樹木が一つ一つ当てられていて、それに関する意味付けがされています。
しかも、下から上へ、縦に書かれていることが多いみたい。
ルーン文字はこんな感じ。
だいぶ雰囲気が違うと思います。
双方とも、一つの文字に一つ意味がついているので、占いに使われたのではないかとは言われています。
明確な証拠が残っているわけではないのですが(当時の占い道具が出てきているというわけではないのですが…)、知識層で政治もやっていたとなると、当時はやはり占いは必須だったと思われます。政教分離なんて最近のお話ですから。
文化として似ている部分があるから、同じようなものとして見られることはあると思います。
ただ、違うものです。
ルーン文字がケルトだと勘違いされるもう一つの理由
「指輪物語」のせいの可能性!
「指輪物語」という有名なファンタジーがあります。
イギリスのJ・R・R・トールキンによる長編小説。エルフや人間が国家を築き、戦争を繰り広げる架空の世界を舞台としたハイ・ファンタジー作品(wikipediaより)
というお話で、映画化されたりもしましたよね。
この、トールキンという人がファンタジー作品を書くのに参考にしたのが、ケルトとゲルマンの文化(それと、フィンランドの文化)だったらしいんです。
これらの文化をごちゃ混ぜにして、アイディアを加えて作られたのがトールキンの作品の世界。
ここでケルトとゲルマンの文化が同じものとして統合されてイメージ化されたんですね。
私達がイメージする「ケルト=ゲルマン(人が使っていたルーン文字)」はここからきているんじゃないかと思います。
結論:ルーン占いはケルトの文化ではない
以上のように、「ルーン占いってケルト?」ではないのです。
お隣の文化です。
日本にとっての中国とか朝鮮の文化、くらいには違うはずです。
この辺の話も面白いし、ルーン占いが好きな人はオガム文字の占いも好きになっちゃう可能性があるので(私もちょっとかじりました)、勉強してみるのも悪くないと思います。
私の調べたことにも間違いがあるかもしれないし、歴史には新しい発見が常にあるものでもありますし、調べていけば色々な発見があるものです。
よければ、ぜひ。
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